第5回アジアパラ競技大会(愛知・名古屋2026)の話題を目にする機会がぐっと増えて、「結局、どんな競技をやるの?」と気になっている人も多いと思う。わたしもそのひとりで、大会概要や自治体の発表、報道を一つずつ確かめながら調べてみた。結論から言うと、実施されるのは18競技502種目。この記事では、その全体像と競技ごとの特徴、初めて観る人にこそ知ってほしい見どころをまとめていく。

競技の話に入る前に、大会そのものの基本を整理しておきたい。数字が頭に入っていると、このあとの一覧がずっと読みやすくなる。
会期は2026年10月18日(日)から24日(土)までの7日間。日本パラスポーツ協会(JPC)の大会概要ページには、実施規模は18競技502種目、参加は45の国と地域と記されている。愛知県の大会紹介ページでも、18競技・45の国と地域という数字は同じだ。
中日新聞の開幕前の報道によれば、この大会は1975年に始まったフェスピック大会を引き継ぐもので、2010年の広州大会からアジアパラ競技大会として開かれてきた。今回が5回目で、日本での開催は初めてになる。日本選手団は選手285人と競技パートナー15人(10月8日時点)。開会式の旗手は、車いすラグビーの橋本勝也選手と、陸上の中川もえ選手が務めると伝えられている。
では、どこで観られるのか。ここがこの大会のおもしろいところで、名古屋だけに閉じていない。
開閉会式とパラ陸上の舞台になるのは、名古屋市瑞穂公園陸上競技場(パロマ瑞穂スタジアム)。そのほか、岡崎市、一宮市、豊橋市、豊田市、刈谷市と、愛知県内の各地に会場が散らばっている。例外は自転車競技で、静岡県の伊豆ベロドロームとサイクルスポーツセンター5キロサーキットで行われる。静岡県のページによると、トラックが14種目、ロードが20種目だ。
全体像がつかめたところで、肝心の18競技を会場とセットで並べてみよう。

ここからが本題。JPCの大会概要で公表されている競技と会場は、次のとおりだ。
数えるとちょうど18競技。自転車はトラックとロードを合わせて1競技として数えられている。
こうして並べると、ひとくちにパラスポーツと言っても、ずいぶん幅広いことがわかる。
チームで戦う球技もあれば、一回の挙上に全集中するパワーリフティングもある。音を頼りにプレーする競技、格闘技、精密射撃のような競技まで揃っている。しかも会場は県内各地にあって、例えば車いすバスケットボールは愛知国際アリーナ、ゴールボールは豊橋、パラ卓球は豊田といった具合に、競技ごとに「観に行く先」が違う。旅行気分で競技を選ぶのも、案外楽しい観戦の入り口になると思う。
では、気になる競技がどんなものなのか、ひと言ずつ見ていこう。

ここでは、初めて観る人が戸惑いやすそうな競技を中心に取り上げる。ルールは公開されている解説をもとにしているので、細かな規定は大会の公式情報で確かめてほしい。
最初は、観ているだけで体温が上がるチーム競技から。
1チームはコート上4人で、パラリンピック競技で唯一、車いす同士の接触が認められている。選手は障がいの程度に応じて持ち点がつき、コート上4人の合計は8.0以内。8分×4ピリオドで、車輪がトライラインを越えれば得点になる。ボールを持ったら12秒以内にセンターライン、40秒以内にトライラインを越えなければならず、攻守の切り替えは想像以上に速い。会場はウィングアリーナ刈谷だ。
コート上は5人で持ち点の合計は14点以内。一般のバスケットボールと同じルールで進むため、展開が速く、初めてでも追いやすいとされている。車いす操作そのものが見どころで、スピードに乗ったターンやストップは一見の価値がある。会場は愛知国際アリーナで、開会式より前の16日から試合が始まる。
座位バレーボールは、お尻を床につけたままプレーするバレーボールだ。コートは縦5m×横6m、ネットの高さは男子1.15m、女子1.05mとされ、25点先取のラリーポイント制で行う。サーブをブロックできるのも特徴で、狭いコートで続く速いラリーは迫力がある。
ここまでは見て楽しい競技だが、次はまったく違う感覚が必要になる競技を紹介したい。
視覚に障がいのある選手が主役になる二つの競技は、観る側の楽しみ方もちょっと独特だ。
1チーム3人で、全員がアイシェードを着ける。鈴の入ったボールを転がして、幅9m・高さ1.3mのゴールに入れるのが目的だ。試合は12分ハーフの計24分。守る側は音だけを頼りにボールの軌道を読み、体を投げ出して止める。会場は豊橋市総合体育館で、17日から始まる。
1チーム5人で、フィールドの4人はアイマスクを着け、ゴールキーパーは晴眼者か弱視の選手が務める。ボールは転がると音が出る特別なもの。相手に向かうときは「ボイ!」と声を出すルールがあり、敵陣のゴール裏に立つガイドがシュートの位置やタイミングを伝える。音と声だけで組み立てるサッカーだと思うと、見え方が変わってくる。
音の世界の次は、静かな集中力と、たった一回の勝負に懸ける競技を見てみよう。
ここに並べるのは、駆け引きと精度、そして瞬間の爆発力で魅せる競技たちだ。
白いジャックボールに、赤と青のボールを交互に投げて近づけ合う競技で、基本は各6球ずつ。力任せではなく、どこに置いて、どう相手を妨害するかという戦略の積み重ねが面白い。会場はレインボーホールで、17日から24日まで長く開催される。
パラバドミントンは車いすと立位のカテゴリーに分かれ、全6クラスで実施される。1ゲーム21点の3ゲーム制だ。パラ卓球は、基本的に一般の競技規則に準じ、車いすと立位でクラスが分かれる。11点先取で5ゲーム中3ゲームを先取したほうが勝ち。どちらも、普段のスポーツ観戦の延長で入りやすい。
車いすフェンシングは、車いすをピストに固定し、上半身だけで戦う。フルーレ、エペ、サーブルの3種目があり、フットワークが使えない分、剣さばきの技術とスピードが勝負になる。パラテコンドーは上肢に障がいのある選手が対象で、蹴り技が中心のフルコンタクトの競技だ。体の使い方に選手ごとの個性が出るのも、観ていておもしろい。
ベンチプレスで競う種目で、ギアの使用は禁止。男女別・体重別に行われ、障がいの種類や程度による区分はない。バーベルを持ち上げるのは数秒ほどだが、その一瞬に至るまでの集中の高まりが、会場の空気ごと変えてしまう。
もちろん、パラ陸上、パラ水泳、パラ自転車、パラアーチェリー、パラ射撃、パラ柔道、車いすテニスもある。
この中で注目度が高いのが車いすテニスだ。中日新聞の報道では、男子シングルスで連覇が期待される小田凱人選手が、世界ランキング1位として地元の日本で出場する。ここまで紹介した競技は、いつ観に行けるのだろうか。次に日程の話をしよう。

7日間といっても、競技によって始まる日も終わる日もばらばらだ。観戦の計画を立てるなら、先にここを押さえておきたい。
大会の公式情報や観戦ガイドによると、一部の競技は開会式より前に始まる。
つまり、観戦は開会式を待たずに始められるということだ。
開会式の翌日の19日からは、パラ陸上、パラ水泳、車いすテニスなど多くの競技が動き出す。陸上と水泳、車いすテニスは19日から23日、柔道とテコンドーは19日から21日、パワーリフティングとフェンシングは19日から24日が目安だ。アーチェリーは19日と20日の予選が無観客とされている。閉会式は24日の18時から。
なお、日程や参加チーム数の変更で、競技によっては予定が入れ替わっている場合もある。出かける前に、公式チケットの案内で最新の日程を確認しておくと安心だ。中日新聞によれば、全18競技のうち12競技で販売が6割以上に達し、車いすテニスやバドミントンなど5競技は9割以上という。気になる競技があれば、早めの確認をおすすめしたい。
ここまで競技を一通り見てきたけれど、「初めて観るのに、ルールがわからないと楽しめないのでは?」と不安な人もいるかもしれない。実は、押さえるべきポイントはそれほど多くない。
パラスポーツには、障がいの種類や程度に応じた「クラス分け」という考え方がある。同程度の条件の選手どうしで競うことで、勝負の公平さを保つしくみだ。バドミントンや卓球でクラスが分かれているのも、その一例にあたる。
車いすラグビーや車いすバスケットボールでは、これが「持ち点」としてチーム編成に関わる。どの選手を組み合わせるかという采配そのものが、勝負の一部になっているのだ。結果だけでなく、ラインナップの組み方に注目すると、競技としての奥深さがぐっと見えてくる。
観戦のマナーも競技によって違う。ここを知っておくと、当日に慌てずに済む。
上の二つは、千葉県の解説や競技ガイドで紹介されているマナーだ。静けさの中で響くボールの音は、観客にとっても貴重な体験になると思う。
愛知県は、実施競技の見どころを紹介する無料のあいちパラスポーツガイドを、2026年9月7日から順次配布している。名古屋駅や金山駅などの名鉄各駅、県内の公共スポーツ施設などで手に入り、電子版もある。
ここまで読んで、まだ気になる点があるかもしれない。調べている中でよく出てくる疑問を、簡単に答えておく。
JPCの大会概要によると、18競技502種目だ。自転車競技はトラックとロードを合わせて1競技として数えられている。中日新聞の報道では「約500種目」と表記されることもあるが、基本的には502種目と考えてよい。
ある。自転車競技だけが静岡県で開催され、トラックは伊豆ベロドローム、ロードはサイクルスポーツセンター5キロサーキットが会場だ。それ以外の17競技は、すべて愛知県内で行われる。
10月16日(金)から車いすバスケットボール、ブラインドフットボール、パラ卓球、パラバドミントンが、17日(土)からボッチャとゴールボールが始まる。開会式は18日(日)だ。
愛知県が配布するあいちパラスポーツガイドのほか、日本パラスポーツ協会が競技ごとに公開している競技ガイドも参考になる。観戦前に目を通しておくと、試合の見え方が変わってくる。
18競技502種目という数字は大きく見えるけれど、全部を観ようとしなくていい。まずは、ぶつかり合いの迫力でも、静けさの緊張感でも、気になった競技をひとつ選んでみてほしい。会場は愛知県内の各地にあって、日程も限られているので、早めに計画しておくとスムーズだ。
ここに書いた内容は、2026年10月9日時点で確認できた情報にもとづいている。日程や会場は変更される可能性があるので、出かける前に公式の案内で最新情報を確かめてほしい。名古屋と愛知で開かれる初めてのアジアパラ競技大会、せっかくなら、すぐ近くで観てみたい。