暦には、それぞれ干支が割り振られている。
カレンダーなんかに「乙丑(きのと うし)」とか、「壬寅(みずのえ とら)」みたいな呪文が書いてあるのをみたことがないだろうか、アレのことだ。
「土用の丑の日」の「土用」っていうのは、立春・立夏・立秋・立冬の直前の期間のこと。「土曜」ではないので注意だ。
つまり「土用の丑の日」っていうのは、土用の期間のうち、干支が丑にあたる日のことを指す。
今年(2018年)で言うと、夏の「土用の丑の日」は去る7月20日。
マジかよ!過ぎてるじゃん!ちくしょーうなぎ食い損ねたぜ!というオーディエンスのみんな、あきらめるのはまだ早い。
なんてったって今年の土用丑は、まだもう1日残っているからね!
土用の期間は約18日間で、十二支は12日で一周する。そのため、土用の期間中に丑の日が2回来ることがあるのだ。ちなみに、1回目の丑の日は「一の丑」、2回目の丑の日は「二の丑」という。
そして今年の二の丑は8月1日。まだ間に合うぞオーディエンスたち!
万全の準備をもって丑の日アンコール(二の丑)を迎えるべく、改めて「土用の丑の日」について勉強しよう。
丑の日といえばおなじみのやつ。うなぎをはじめとしてうどん、梅干し、瓜、牛、馬、うさぎなどなど、土用の丑の日には「う」の付くものを食べようっていう習慣がある。
うまい棒とかウイダーインゼリーでもいいんだろうか。「う」はバッチリついてるし。
そのほかにも、関西や北陸では「土用餅」と呼ばれるあんころ餅を食べたりする。餅は「力持ち」を意味し、小豆には厄除けの効果があるということで、その二つが合わさったあんころ餅はいわばスーパー厄除けスイーツなのだ。
丑の方角(北北東)は、玄武という神様が守っている。この神様のイメージカラー「黒」にちなんで、土用の丑の日には黒豆、黒ゴマ、黒砂糖といった黒い食べ物を食べるという習慣もあったりする。
そう考えると、うなぎって「う」が付くうえに黒いし、まさに土用にうってつけのスーパー土用フィッシュなんじゃない?
江戸時代、地質学者であり本草学者であり医者であり事業家であり画家であり俳人であり発明家であるという属性盛りまくりの天才、平賀源内という人がいた。
とある鰻屋さんが「うなぎに脂がのらない夏は売り上げが落ちる」と嘆いていたところ、平賀源内が「本日丑の日」と貼り紙を出すようにとアドバイスした。
その通りにしたらあらびっくり、夏だというのにうなぎがバカ売れ。人々は気づいてしまったのだ、うなぎが丑の日にピッタリなスーパー土用フィッシュだということに。
それを見たほかの鰻屋さんたちが次々に真似をしていった結果、「土用の丑の日にはうなぎを食べる」という習慣が出来上がった。
うなぎ界に革命を起こしたこの「本日丑の日」は、日本最古のキャッチコピーとも言われている。
もしもあの世があるのなら、平賀源内は今頃うなぎたちからものすごい責め苦を受けていることだろう。
土用の間は土の中に土公神(どこうじん)という神様がいて、土いじりをすると土公神の怒りに触れて祟られる…という恐ろしい話がある。
そのほかにも、生ものや冷たいものを食べると体を壊すからダメ、引っ越しや旅行もダメ、新しいことを始めても続かないからダメ…などなど、土用中はなにかと禁止事項が多い。
というのも、土用の期間は季節の変わり目。どうしても体調を崩しやすい期間だから、大きなアクションは起こさずにおとなしく過ごそう!という昔の人の知恵なのだ。
土用とか関係なく、新しいこと初めても大体続かないんだけどこれはどうしたらいいんだろう。うなぎ食べたら治るかな。
ちなみに、一の丑の日に我が家で供された夕飯は梅干しの乗ったうどんだった。
最近うなぎ高いしね!いいと思う!とってもさっぱりしてて夏にピッタリ!そしてなにより、うどんも梅も「う」付いてる!やったぜ!最高の丑の日!
…確かにそうなんだけど。やっぱり、うなぎ食べたくない?
名古屋でうなぎといえばひつまぶし。
伏見近辺でひつまぶしがおいしいお店をリサーチして、来るべき二の丑に備えるとしよう。
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