昼間とはまた違う熱を含んだ、夜の空気。
遠くに聞こえる祭囃子と、どこか浮わついた雑踏の声。
射的屋台に並ぶ景品、りんごあめの甘い香り、紺色の空に咲く花火。
そんな情景を思い出すからだろうか。
「まつり」と聞くと、なんだか落ち着いていられないのは。
お祭りといえば、夏祭りを思い浮かべる人が多いかもしれない。僕だってそうだ。
でも今日はこれだけ覚えて帰ってほしい、夏だけが祭の季節じゃないんだってこと。
名古屋まつりは、毎年10月上旬の土日(一部例外あり)に開催されるお祭りだ。1955年に「名古屋商工まつり」として始まって以来、名古屋を代表する祭りのひとつとして市民に親しまれている。今年、平成30年度は10月20日(土)・21日(日)に開催予定。
久屋大通公園やオアシス21、さらには名古屋城など市内各地を舞台として行われる名古屋まつり。その名の通り、名古屋らしさがこれでもかと詰まったお祭りだ。
(画像引用元:名古屋まつり:2年ぶりの郷土英傑行列 600人練り歩く – 毎日新聞)
名古屋まつりの華ともいえる一大イベント、郷土英傑行列。一般公募で選ばれる信長・秀吉・家康の三英傑、名古屋市内のデパートに勤める女性たちから選ばれる濃姫・ねね・千姫の三姫が列を成し、名古屋駅から名古屋城までを練り歩くというものだ。
三英傑といえば、歴史に興味がない人でもだいたい知ってる有名人。往時さながらの衣装をまとって名古屋の街を歩く姿は、まるで本物の彼らがよみがえったようだ。
おもてなし武将隊みたいな演武はなくても、練り歩いてるのを眺めるだけでテンション上がっちゃう。すげー!信長公いるー!馬乗ってるー!すげー!みたいな。
郷土英傑行列以外にも、華やかに飾られた山車が並ぶ「山車揃(だしぞろえ)」、獅子頭を収めた神楽屋形が見事な「神楽揃(かぐらぞろえ)」、名古屋のシンボル(※諸説あり)ナナちゃん人形がお祭り仕様の衣装をまとう「ナナちゃん隊」など、バラエティ豊かなまつり行列が行われる。
名古屋まつり二日目の日曜日には、名古屋市が管理する一部の有料施設が無料開放されるという大盤振る舞いなイベントがある。対象となる施設は主に東山動植物園や名古屋城などで、年によってラインナップは微妙に違うので要チェキだ。
ちなみに、みんな大好き名古屋港水族館は残念ながら対象外。悲しい。
僕は年パス持ってるから関係ないんだけどね。
詳しくはコチラ:第64回名古屋まつり
そんな名古屋まつりに、対抗心をメラメラと燃やすお祭りがある。大須商店街で行われる「大須大道町人祭」だ。
1970年代後半、栄・名古屋の賑わいに押され、シャッター商店街へと身をやつした大須。そんな大須の危機を救うべく企画されたのが、このお祭りの始まりだ。
日程は毎年10月中旬で、だいたい名古屋まつりの一週間後の開催となる(一部例外あり)。バチバチに燃える対抗心を隠す気が毛ほどもないのがよく分かる。いいね、そういうの嫌いじゃない。
今年、平成30年度は10月12日(金/前夜祭)・13日(土)・14日(日)に開催予定。
明治時代の大須に大規模な遊郭があったことにちなんだ「おいらん道中」、
バナナのたたき売りやチンドン屋などの大道芸人たちによるパフォーマンス、
パッと見のインパクトがすごい「金粉ショー」など、大須商店街の雰囲気そのままといった感じのクセ強めな催しが目白押し。そんなクセの強さがウケたのか、第一回大須大道町人祭は約50万人もの見物客が訪れたとか。
現在の活気あふれる大須商店街の姿があるのは、このお祭りのおかげといっても過言ではないだろう。
詳しくはコチラ:第41回大須大道町人祭
名古屋まつりの郷土英傑行列といい、大須大道町人祭のおいらん道中といい、お祭りには行列、パレードがつきものだ。お祭りのパレードにはその地域の歴史が垣間見えたり、個性が色濃く表れているっていうのも面白い。
ちなみに2016年の名古屋まつりでは、ディズニーシーの15周年を記念するパレードが行われていたというからびっくりだ。パチモンとかじゃなく、本物のディズニーパレード。ディズニーが名古屋に来るとか、そんなことあるんだ…。
※2018年の名古屋まつりではなんと、ディズニーランド35周年を記念するパレードが行われた。すごい。名古屋に来てくれてありがとうミッキー。
そういえば、日本には「百鬼夜行」っていう言葉がある。鬼や妖怪たちが群れをなし、行進している様子を指すものだ。
ってことは、百鬼夜行も言ってみれば一種のパレードってことだよね。
百鬼夜行といえば、「河文」さんっていう歴史のある料亭が、この百鬼夜行をテーマにしたイベントをこの夏開催していた。テーマは「夜の料亭で怖いモノに出会う」。赴きある料亭で日本中の妖怪とふれあえる(?)、ちょっと大人のお化け屋敷だ。
たまには、そういうパレードだってアリなんじゃない?
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