人は、なぜ走るのだろうか。
そこに道があるから走るのか。
それはあるかもしれない。
人間というものは、目の前に山があれば登るし、お菓子があれば食べるし、酒があれば飲むし、布団があれば寝るし、花が咲いていれば写真を撮ってインスタに上げる。人間はそういうふうに出来ているのだ。
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では人間は、マラソンに参加することでなにを得ることができるんだろう。参加賞だろうか。達成感だろうか。
あるいは日を置いてやってくる筋肉痛だろうか。
僕には分からない。なぜなら、長距離走というものがこの世のなによりも苦手だからだ。
むかしむかしあるところに、もうちょっと具体的に言うと紀元前450年頃のギリシャに、アテナイという国がありました。今でいうところのアテネです。
あるとき、アテナイの敵であるペルシャが大軍を率い、アテナイの北東にあるマラトンという村までやってきました。アテナイ軍はこれを見事に退けます。この勝利をアテナイの人々にいち早く知らせる伝令役に、フィディピデスという兵士が選ばれました。
彼はマラトンから約40km離れたアテナイまでを全速力で駆け抜け、アテナイの人々に勝利を報告してすぐに亡くなってしまいました。
これが有名な「マラトンの戦い」、そしてマラソンの起源なのでした。めでたしめでたし。
いやあんまりめでたくはねえな。フィディピデス、死んじゃったし。
いくら他に移動手段がなかったとはいえ、ひとりで走っていかせるのはどうなんだろう。ちょっとかわいそう。みんなでアテナイに帰ってから「勝ったよ」って言っても良かったんじゃないのかなって思っちゃう。
第1回オリンピックがアテネで開かれた1896年当時、マラソンの競技距離は一定ではなく「約40km」とかなりざっくりした規定だった。それが42.195kmに統一されたのは、1924年の第8回パリオリンピックからだという。
なんでこんなに半端な距離なのか。
それには「観客が選手の邪魔をしないようにスタート地点を変えた」だとか、「時の王妃様が『スタート地点は宮殿の庭、ゴール地点はボックス席前がいい』と注文を付けたためコースが変わったから」だとかさまざまな説がある。
どっちにしろ、もうちょっとキリのいい数字にできなかったんだろうか。
42.195kmて。絶妙すぎるわ。
第4回ロンドンオリンピックのマラソンに、ドランド・ピエトリという選手が出場した。
彼はぶっちぎり一着でゴール手前まで走ってきたが、あと350mというところで倒れてしまった。立ち上がっては倒れ、立ち上がっては倒れを繰り返した彼は、そのたびに係員に抱えあげられながらなんとか一着でゴールした。
しかし、二着以降の選手から「係員の力を借りてゴールしてんのはズルだろ」と抗議が出て、彼は失格にされてしまった。けれども、何度も倒れながらも最後は自分の足でゴールした彼の姿に心を打たれた観客は少なくなかったという。
名古屋ウィメンズマラソンは、名古屋で行われるマラソンイベント『マラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知』のメイン競技だ。毎年15,000人の女性が参加し、世界最大の女子マラソンとしてギネスに認定されている。
注目すべきは参加賞。完走した参加者には、記念のTシャツはもちろんのこと、ティファニー製のオリジナルペンダントとメナードの化粧品が贈呈される。
まじかよ。ティファニーて。大盤振る舞いにもほどがあるでしょうよ。ちなみに同じマラソンフェスティバル内の競技である名古屋シティマラソン、こっちの参加賞はステキなTシャツのみとなっております。なんでだろうね。
公式サイトはコチラ:名古屋ウィメンズマラソン2019
コチラも:名古屋シティマラソン2019
やっぱティファニーか。ティファニーもらえるから走るんだろうか。
もしかしたらフィディピデスも、ティファニーもらえてたら助かっただろうか。
ドランド選手も、ティファニーが参加賞だったらもうちょっと自力で頑張れてただろうか。
僕はティファニーもらっても走らない。
なぜなら、長距離走というものがこの世のなによりも苦手だからだ。
ちなみに、2018年9月9日に「SATOYAMA RUN」というランイベントが飛騨高山にて開催される。岐阜県高山市丹生川村の美しい自然を感じながら走れる、とってもフォトジェニックなイベントです。
興味のある方はこちらからどうぞ⇒SATOYAMA RUN 2018 ※本年度は無事終了いたしました。来年度の開催をお楽しみに!