『デザイン』って何?と聞かれたら、あなたはなんて答えるだろう。
日本語だと『図案』や『意匠』などと訳されていることもあってか、
“デザイン=見た目をカッコよくする”というイメージを持っている人も多いかもしれない。
もちろん見た目のカッコよさも大事なんだけど、本当に大切なのは、問題を解決するための設計を考えること。
そんな奥が深いデザインの中でも、最近注目されているのが『UXデザイン』という分野。
今回は、この『UXデザイン』について紹介するよ。
UXデザインを語る上で欠かせないのが、字面のよく似た『UIデザイン』の存在。まずはこの2つの違いから説明しよう。
製品・サービスとユーザーとの接点のこと。たとえばHPなら、パソコンやスマホの画面に表示されるデザインやフォントなど、ユーザーの目に触れるもの・ユーザーが触れるものすべてがUIと呼ばれる。
ユーザーが製品やサービスを通じて得る体験と、その結果感じる感情などをぜんぶひっくるめてUXと呼ぶ。
『HPがオシャレでカッコいい』とか『フォントが読みやすい』みたいな表面的な話から『注文してから届くまでが早かった』や『対応が丁寧だった』といった質的な部分まで、製品やサービスを利用する中でユーザーが感じたことはすべてUXと呼ばれる。
UXデザインとはUXをよくすること、つまりユーザーによりよい体験をしてもらえるような施策を考えること。ユーザーによりよい体験をしてもらうためには、ユーザーが直接触れるUIのデザインも大事になってくる。
UXデザインとUIデザインは、切っても切れない関係にあるというわけだね。
ユーザーが「製品やサービスに対して何を思うか」を考えるUXデザインでは、心理学的な要素が利用されることも多い。
『人間は、完成・完結した物事よりも不完全・未完成の物事のほうに興味をそそられる』という心理効果のこと。
有名なのが『続きはWebで』というキャッチコピー。あえて中途半端なところで止めてしまうことで、続きが気になるユーザーをサイトに誘導したり、会員登録や購入に導くことができる。
2006年に行われた研究『Impact of Color on Marketing(色がマーケティングに及ぼす影響)』によると、人は製品やサービスと出会ってからわずか90秒の間に、買うかどうかの意思決定をするといわれている。
しかも、その際の判断基準の6~9割は「色だけ」。第一印象は大事っていうけど、まさかここまでとは。
パッと見た瞬間に「ここは信用できそうだな」って思ってもらえるような色って何色なんだろう。一般的に、青は「信頼感」、緑は「安心感」を与える色だといわれている。
そういえば、官公庁や病院のサイトなんかには青や緑を基調としたものが多いよね。
2015年にマイクロソフト社が行った実験によると、一般的なヒトが集中力を維持できる時間はわずかに8秒。
そんな短気な生き物のことなので、HPの表示がちょっとでも遅れるともうイライラしちゃうわけだ。
「1秒待っても表示されないページは閉じられてしまう」なんて話もある。
そんな短気なユーザーにもHPを快適に見てもらうためには、ページの読み込み速度が遅くならないような設計をする必要がある。
ちなみに、金魚が集中力を維持できる時間は9秒らしい。
ヒト、まさかの金魚以下。そもそも金魚っていつ集中するんだろう…。
ざっくり言うとUXの効果測定。UXが制作物やサービスにおいてどれくらい効果的で、設定していたゴールをどれくらい満たしているのかを評価することをUXオーディットと呼ぶ。
カスタマージャーニー:お客さん(カスタマー)が製品・サービスを認知する⇒購入・利用する⇒なにかしら行動する(評価・レビュー・口コミなど)という一連の行動を旅(ジャーニー)に例えたもの。
これを図にして書きだしたものをカスタマージャーニーマップと呼ぶ。
その製品・サービスを通してユーザーがどのような体験をするのかを、一つのストーリーとして表したもの。
製品やサービスがどんなときにどのように使われるのかを表すイラストと、状況やユーザーの心境を説明するナレーション・セリフという二つの要素で構成される。4コマ漫画の形式で作られることも多い。
進●ゼミのパンフレットに必ず載ってるあの漫画も、言ってみればストーリーボードみたいなもんなんだと思う。たぶんね。
かの有名なミッキーマウスの生みの親であるウォルト・ディズニーは、「人類初のUXデザイナー」とも呼ばれている。
1966年、フロリダ・ディズニーワールドのオープンに合わせて発表された都市構想『ESCOT』。これは、『実験的未来都市』を意味する”Experimental Prototype Community of Tomorrow”の略称だ。
彼が考案したのは、透明な屋根で覆われたらせん状の未来都市の姿。その街に自動車事故はなく、人々は天候の急な変化に振り回されることもない。
街の住人(=ユーザー)が快適に暮らせることを追求したこの概念は、まさに現在のUXデザインの原形ともいえるだろう。
見た目がオシャレなモノなんてもうあふれるほどある今の時代。
生き残っていくために、ユーザーの体験・それに伴う感情までもデザインする『UXデザイン』の視点は欠かせないものなのだ。