2017年6月20日にアメリカでリリースされたGoogleの新サービス『Google for Jobs(Job Postingとも)』。
2019年1月23日、求人界の黒船と噂されるこのサービスが、ついに『Googleしごと検索』として日本にも上陸した。
アメリカでのリリースから、1年半ほど遅れて日本にやってきたGoogle for Jobs(Googleしごと検索)。
求人情報を探していると思しきキーワードで検索すると、そのキーワードに関連した求人情報を分かりやすく表示してくれるというサービスだ。
こんな感じで。
Google for Jobsで表示される求人情報は、Web上の求人サイトや転職サイト、各企業の採用サイトなどから集められたもの。
広大なインターネットの海に散らばった求人情報の中から、キーワードにマッチしたものを探してきてくれるというわけだね。便利だ……
Web上にあふれる、さまざまなタイプの求人媒体。
代表的なものに“求人媒体界のGoogle”と称される大手『Indeed』があるけど、こういった求人媒体とGoogle for Jobsにはどんな違いがあるんだろう。
Google for Jobsが表示されるのは、検索結果のトップ。
リスティング広告枠のすぐ下に表示されるため、自然検索の順位が1位のサイトよりも上部に表示されるのだ(キーワードによって多少の前後はあるみたいだけど)。
ということは当然、他のどんな求人媒体よりも上部に表示されるということになる。
さらに言うと、Google for Jobsの表示順はSEOの影響を受けない。そのため、自然検索の順位が振るわないサイトであっても求職者の目に止まる確率が高くなる。
Google for Jobsに掲載される情報は、先述の通りweb上の求人媒体や採用サイトなどから抜粋されたもの。なので、求人媒体を利用するときのように、Google for Jobsに直接求人情報を投稿するということはできない。
Google for Jobsに求人情報を掲載するには、採用サイトや採用情報ページを作成するか、対応する求人媒体に採用情報を掲載する必要がある(後の項目で詳しく解説)。
Google for Jobs自体に求人への応募をする機能は備わっていない。Google for Jobsに掲載されている求人情報の詳細は、掲載元となるそれぞれの求人媒体や採用サイトに飛んで直接確認する必要がある。
つまり、Google for Jobsは「求人情報専門の検索エンジン」であって「求人媒体」ではないということだね。
Google for Jobsに載る求人情報の数は莫大だ。なにしろweb上のありとあらゆる求人情報が集まるわけだからね。
となると必然的に競争率は跳ねあがり、自社の求人情報が上位に掲載される確率は低くなる。普通の採用サイトみたいに、SEOでコントロールするということもできない。
新卒採用に関しては、従来通り求人サイトへの求人情報の掲載を主とする企業がほとんどになるだろう。
中途採用(特に地方企業)はそもそも求職者が少ないということもあり、お金を払って大手媒体に求人を掲載しても人が集まらず、費用対効果が低くなってしまうという問題がある。
そのため、今後は求人媒体への掲載をやめて自社の採用サイトを持ち、Google for Jobsを積極的に活用しようとする地方企業が増加する可能性が高い。
正社員に比べて人手の出入りが激しいアルバイトの求人は、一年を通じて頻繁に募集をかける必要がある。しかし求人媒体への掲載にはやはりお金がかかるため、人手が足りなくなったときに短い期間だけ「急募」の求人を掲載するのが一般的なやり方だった。
Google for Jobsなら、求人媒体ではコスト的に難しかった通年の掲載も可能だ。今後、アルバイトの募集は求人媒体を使わず、募集要項ページを設けて一年中行う企業が増えるかもしれない。
だいたいの場合は広告枠のすぐ下、検索順位1位のサイトよりも上部に表示されるGoogle for Jobs。ここに求人を掲載できれば、求人媒体よりも多くの人の目に触れることが期待できる。
そんな期待の星・Google for Jobsに情報を掲載するには、「構造化データ」なるものを「マークアップ」する必要がある。
なんだそれ?という方(僕含め)のために、Google for Jobsに求人を掲載する方法を紹介するよ。
最低限、職種名・概要(業務内容や必要な資格・スキル、業務時間、学歴や経験に関する要件など)・勤務地・雇用区分(正社員・アルバイトなど)・給与情報(年収・月給・時給など)は掲載しよう。
自社で採用サイトを用意するのが難しい場合、構造化データマークアップに対応した求人サイト(マイナビ、エン・ジャパン、Greenなど)に登録して求人情報を掲載するという手もある。
Google for Jobs(グーグルフォージョブズ)に対応した求人サイト一覧 | Google for Jobs(グーグルフォージョブズ)最新情報〈Googleしごと検索〉
募集要項ページに書かれた情報を、Googleがきちんと理解できるようにする作業のこと。
詳しいやり方については、プログラマー向けの専門的な内容なのでここでは割愛。
このサイトが分かりやすくまとめてくれてるよ:求人検索をさらにリッチ化!「Google for Jobs」についてまとめてみた
Googleが推奨しているのは『indexing API』を導入する方法。
Indexing APIについてざっくり説明すると、サイトに何かしらの変更が行われるとすぐにGoogleにクロールのリクエストが行われ、変更が速やかに検索結果に反映されるという優れもの。
Indexing APIの利用と合わせて、サイトマップ(sitemap.xml)も送信しておくと安心。
募集期間が終了した求人情報をそのままにしておくと、Googleの『手動による対策』の対象になってしまう。
※手動による対策:Googleの担当者が目視でサイトを確認した結果、ガイドラインに違反しているとみなされた場合に手動で付けられるペナルティのこと。
募集が終了したら、以下の方法のうちのどれかを使ってきちんと「終わりましたよ」ってことをGoogleに知らせよう。
Google for Jobsに関するGoogle公式ブログはコチラ:Google Developers – しごと検索
あらゆる求人媒体や採用サイトから情報を集め、キーワードにマッチした情報を検索結果のトップに表示してしまうGoogle for Jobs。大手求人媒体の脅威となり、求人業界を大きく揺るがす存在であることは明確だ。
その一方で、便利なサービスが新たに登場しても、信頼できる既存のサービスを今まで通り利用するユーザーが多いのもまた事実。
その証拠に、GoogleにはYahoo!ショッピングや楽天市場などの通販サイトを横断検索できる『Googleショッピング』というサービスがある。にもかかわらず、欲しいものがあれば最初からAmazonで検索するというユーザーは多いだろう。
僕もその一人だ。最近Kindle Fire HDを買っちゃったから、なおのことAmazonが捗りすぎて困っている。
話を戻そう。Google for Jobsが登場したことで、求職者はいろいろな求人媒体をハシゴすることなく、希望に合った求人をサクっと探すことが可能になる。
企業の側からしても、費用を押さえつつ精度の高い採用活動が行えるのは大きなメリットだ。
立場を脅かされかけているIndeedなどの求人媒体も、企業の“求人媒体離れ”を防ぐため、新たなサービスを展開するなどの動きを見せるかもしれない。
今後の求人業界の動きから目が離せないね!
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