※画像と記事の内容に齟齬があります。
…といっても過言ではないって話。
小さいころ、家族で買い物に行った日のお昼はだいたいスガキヤ。
中学生になって、はじめて自分のお小遣いで外食したのもスガキヤ。
大学生のとき、給料日前の抗えないラーメン欲を満たすため駆け込んだのもスガキヤ。
僕の体の半分くらいは、もうスガキヤで出来てるんじゃないかと思う。
スガキヤは、名古屋の丸の内に本社を構える「スガキコシステムズ」が展開するファストフードチェーン。名古屋近辺に住む人のソウルフードだ(感想には個人差があります)。
小さいころから知っている安心感と値段の安さ、魚介ベースのあっさりしたとんこつスープ。通い詰めるとかはしないけど、たまに食べたくなるあの感じ。それがスガキヤの魅力だと、僕は思う。
あとスガキヤの特徴といえば、甘味が充実しているところだろうか。冷たいお汁粉にソフトクリームが乗った看板スイーツ「クリームぜんざい」をはじめ、季節限定メニューなんかを合わせるとラーメンと同じくらい種類が多い。
なんでこんなにデザートが多いのか。その理由はスガキヤのルーツにある。
スガキヤが誕生したのは戦後間もない1946年。創業当時はラーメン屋ではなく、甘いものを求める人々のために甘味を提供する「甘党の店」だった。
しかし、他の店でラーメンを食べてからデザートを食べに来る客が多かったことから「じゃあうちでラーメンも食べてもらえばいいじゃん」という感じでラーメンを始めたんだそうな。
衝撃の事実。ラーメン、まさかの後付け。
スガキヤといえば、忘れちゃいけないのがラーメンフォーク。スガキヤでラーメンを頼むと、レンゲの代わりに先端がフォーク状になった特殊なスプーンが添えられる。これがラーメンフォークだ。
「麺食べるときとスープ飲むときで箸とレンゲを持ち替えるのがめんどい、じゃあ麺もスープも食べられるフォーク作っちゃえばいいじゃん」そんな感じで生まれたラーメンフォーク。名古屋が誇る高級食器メーカー「ノリタケ」が開発に携わった、いうなればフォーク界のリーサルウェポンだ。
しかし、そんなリーサルウェポンには重大な欠点があった。
金属製ゆえ、アツアツのスープをすくって口に入れるとめちゃくちゃに熱い。
麺だけ食べようとしても、構造上どうしてもスープもすくってしまい結果めちゃくちゃに熱い。
フォーク部分にうまく引っかからなかった麺がちゅるんと滑り、スープが跳ねてめちゃくちゃに熱い。
とにかくめちゃくちゃ熱い。
結果、僕たちは箸で麺を食べることになる。なんという本末転倒っぷりだ。
じゃあせめてこいつでスープを飲もうと思うと、今度は先のフォーク部分が邪魔をする。どう頑張ってもフォーク部分からスープがこぼれてしまうのだ。
1+1が2になるとは限らない。ときにはゼロになってしまうことだってある。
それが現実というものだ。
そんな自己矛盾を抱える姿が海の向こうにウケた…かどうかは分からないが、MoMA(ニューヨーク近代美術館)のミュージアムショップでこのラーメンフォークが販売されている。
スープ飲むのに使ってもよし、近代アートとして飾るもよし。どうでしょう、一家に一本ラーメンフォーク。ニューヨークまで行ってられない忙しい人はAmazonからどうぞ。
この前、名古屋駅の地下街「エスカ」をふらふらしてたらスガキヤを見つけた。ちょうどお腹もすいてたし、久しぶりに入ることにした。
看板には「中華厨房寿がきや」の文字。1946年創業の第1号店「寿がきや」をイメージして新たに展開した、通称“高級スガキヤ”と呼ばれる店舗らしい。
“高級”と言われるだけあって従来のスガキヤよりちょっと価格帯は上がるものの、それでも良心的な値段だ。「赤ラーメン」「黒ラーメン」など個性的なメニューが並び、チャーハン・餃子・麻婆豆腐といったラーメン以外の中華料理も豊富に用意されている。ビールも飲める。ちょっと大人のスガキヤ、そんな感じだった。
「まあいいか、スガキヤで」って気持ちで入ったけど、正直なところ期待以上だった。学生時代慣れ親しんだスガキヤとは内装も雰囲気も全く違ったけど、ラーメンの味の根本は変わってなくて嬉しかった。
幼馴染みに久々に会ったら、いつのまにかめっちゃ綺麗になってた。でも笑顔はあのときのまま。そんな感じ。
まだまだ店舗数は少ないみたいだけど、見つけたらぜひ立ち寄ってみてほしい。スガキヤと共に青春を送った、僕みたいな人は特に。
詳しくはコチラ:寿がきや メニュー情報
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