鉄分豊富なもも肉・淡白な味わいのむね肉・コラーゲンの宝庫たる皮…と、その体のすべてを余すところなく活用できる高機能食品、その名も鶏肉(感想には個人差があります)。
名古屋の看板を背負う高機能食品・名古屋コーチンについてはコチラの記事で↓
名古屋コーチン – 名古屋コーチンを味わい尽くす!
そんな鶏肉の中でも、名古屋人になじみの深い部位と言えば「手羽先」。その名の通りニワトリの翼部分のことで、鶏1羽につき2つしかとれない希少部位ともいえる(感想には個人差があります)。
この手羽先をカラッと揚げた「手羽先唐揚げ(名古屋で“手羽先”といったら十中八九この料理を意味する)」は、酒飲みからもそうでない人からもこよなく愛される名古屋グルメだ。
(画像引用元:食べログ 風来坊 栄店 (ふうらいぼう) – 栄町/居酒屋)
みんな大好き「手羽先唐揚げ」を生み出したのは、名古屋の『風来坊』というお店。若鶏の半身をそのまま揚げて特製のタレを塗った『ターザン焼き』を筆頭に、鶏料理全般を扱うお店だった。
ある日、風来坊の創業者・大坪健庫氏がいつものように仕入れ先に訪れたところ、そこには大量に積まれた手羽先が。
当時、スープのダシくらいにしか使われていなかった手羽先。大坪氏はここでひらめいた。
『これ、揚げたらうまいんじゃないか?』と。
さっそく仕入れた手羽先を揚げ、ターザン焼き同様にタレを塗って出したところ、これがバカウケ。
大きくて値も張るターザン焼きには手が出しづらいお客さんにも「安くて気軽でしかもうまい!」と大好評。こうして手羽先唐揚げは、あっという間に風来坊の看板メニューとなった。
(画像引用元:食べログ『コショウの効いたスパイシーな手羽先。』by @kubi : 世界の山ちゃん 本店)
…という経緯を経て、名古屋で生まれた生粋の名古屋めし『手羽先』。現在、その元祖たる風来坊と“Top of 手羽先”の座を競うのは『世界の山ちゃん』だ。
1981年6月14日、現在の『世界の山ちゃん』の原点となる『やまちゃん』1号店が新栄にオープンする。そのころにはもう名古屋のあちこちに手羽先唐揚げのお店が乱立しており、『やまちゃん』もこの“手羽先戦争”に参戦することとなる。
『やまちゃん』の手羽先は、元祖とも他店とも違ってコショウ強めのスパイシーな味付け。当時ちょうど激辛ブームの様相だったこともあいまって、『やまちゃん』の手羽先は見事“手羽先戦争”を制することとなる。
ちなみに、『世界の山ちゃん』というなんともスケールのでかい名前はとあるスタッフの遊び心によるもの。
『やまちゃん』2号店で働いていたアルバイトのひとりが、お客さんからの電話に「はい、宇宙の山ちゃんです」「はい、世界の山ちゃんです」なんて応対をしていた。
それを聞いた『やまちゃん』創業者の山本重雄氏が「それ夢があってイイね」と、『世界の山ちゃん』を正式に店名として採用してしまったのだとか。
現在はその名に恥じず、海外店舗もぞくぞく展開中。名実ともに“世界の山ちゃん”になろうとしているってわけだね。
激辛ブームのさなかに生まれた山ちゃんの手羽先は、コショウたっぷりのスパイシーさが売り。コショウの辛さがあとを引いて、ビールがガンガン進むタイプの手羽先だ。
対する手羽先の元祖・風来坊の手羽先は、甘辛いタレと白ごまがたっぷりかかったスタイル。ビールはもちろん、焼酎やウイスキーと合わせてもイケるオールマイティさが強みだ。
山ちゃんの手羽先が手羽中+手羽先のV字型なのに対して、風来坊の手羽先は手羽中部分だけを揚げているのも大きな特徴だ。食べやすさを重視した結果だろうか?
じゃあ風来坊のは「手羽先」じゃなくて「手羽中」じゃね?なんて大人げないマジレスは、ビールか焼酎かウイスキーと一緒に飲み込んでおこう。
名古屋を中心に日本全国+アメリカ合わせて80店舗以上を展開する風来坊。フランチャイズ方式ではなく、風来坊のお店で修業してお墨付きをもらった者だけが「風来坊」の看板を背負うことを許される「暖簾分け」方式で店舗を広げていくのがこだわりなんだとか。
対する世界の山ちゃんは手羽先ブームに乗っかったその創業以来、寿司にチャレンジしてみたり、洋酒居酒屋ブームに飛びついてみたり、手羽先のみにとらわれない柔軟な事業展開を繰り広げた。
現在もそのチャレンジ精神は健在のようで、カフェレストラン『BABY FACE PLANET’S』、大人な居酒屋『山』、ラーメンやまぜそばを提供する『ら~めん やどがり屋』などさまざまなジャンルの店舗を展開している。
ちなみに、世界の山ちゃんを運営するエスワイフーズは「やまちゃん」1号店の開業記念日である6月14日をしれっと『手羽先記念日』に制定している。『山ちゃん記念日』でなく、『手羽先記念日』。これ、下手したら風来坊ガチギレ案件じゃないのかなあ…。
※風来坊の1号店開業は1963年の11月1日。こっちの方がキリがいいし、見ようによっては手羽先が三つ並んでるように見えないこともなくはない…気がする。対抗して『手羽先誕生の日』とか作っちゃえばいいのにね。
ほとんど偶然の中から生まれ、広く愛されてきた手羽先。そのクセになるおいしさをどうにかこうにか再現できないものかと試行錯誤する者たちが後を絶たない。
【手羽先の日】夏にピッタリ! 『世界の山ちゃん』の手羽先を再現してみた / 今晩のビールのあてはコレで決まり!!
先人たちの知恵を借りるもよし、自らレシピを探るもよし。
どちらにしても、まずはお手本となる味をしっかり覚えるためにもお店に通い詰めないとね。
ちなみに、今『井出ちゃんぽん 名古屋伏見店』があるところはかつて『世界の山ちゃん』があったんだって。もし現役だったら弊社から徒歩1分だったのになあ。惜しい。
まあ、それでも弊社から徒歩10分圏内に伏見店、納屋橋店、長者町店、錦店、錦中店、錦三大津店の6店舗が控えてるので十分なんだけどね。
錦三大津通店は深夜3時まで営業してるから、夜更かしな飲兵衛たちにもおススメだよ。
手羽先激戦区のまんなかで営業中の弊社(手羽先屋じゃないよ)ホームページはコチラ↓
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