お気に入りの白いTシャツでバッチリ決めた日に限って、給食がカレーうどん。そんな経験はないだろうか。僕にはある。割としょっちゅうある。
なんなら、給食とは縁がなくなった今でもある。
久々にカレーうどん食べたいな~なんて思って、近くのお店を調べ、いい感じのお店を見つけ、よし行くか!と元気に歩き出したところで気づくんだ。自分が真っ白なシャツを着ていることに。あのときのやるせなさと言ったらもう、筆舌に尽くしがたいものがある。
なぜ人は、カレーうどんが食べたいときに限って白い服を着てしまうんだろう。もう毎日カレーみたいな色のシャツ着てようかな。
味噌煮込みうどんと並ぶ名古屋の二大うどん、カレーうどん。
カレーとうどんという、奇跡にも近いこの組み合わせが爆誕したのは、1908年頃のことだった。
カレーうどんの発祥地となったのは東京・新宿。老舗そば屋「三朝庵」(2018年7月31日に閉店)が、洋食屋に奪われてしまったお客さんを取り戻すために考え出したのがカレーうどんだった…と言われている。
名古屋めしというものにはよくあることだけど、発祥地は名古屋でもなんでもない。
東京で生まれたカレーうどんはいつしか名古屋で独自の進化を遂げ、『名古屋カレーうどん』として名古屋めしの仲間入りを果たしてしまった。
和風だしにカレー粉を溶き、片栗粉でとろみをつけたいわば「カレー風味のあんかけうどん」が一般的なカレーうどんのスタイル。
対する名古屋のカレーうどんは、和風だしに鶏ガラスープ、そしてインドカレーばりにブレンドされたスパイスを加えて作るという独特なもの。とろみづけには片栗粉ではなく小麦粉を使い、麺はコシの強いものを使う店が多い。
濃厚なカレーに負けないモチモチのうどん、これが名古屋流カレーうどんのスタンダードだ。
ところで、みんなはお酒の後の“シメ”といえば何を思い浮かべるだろう。ラーメン?お茶漬け?ちなみに、僕の鉄板はコンビニのアイス。
シメにもいろいろあるけれど、名古屋の酒飲みたちから熱い支持を集めるのはカレーうどんだ。
その先駆けとなったのは、名古屋の飲み屋街代表“錦三”(錦三丁目)にある「うどん錦」。深夜2時まで営業していることもあって、1982年の創業以来「シメのカレーうどん」として愛されている。「ここのカレーうどんを食べると二日酔いしない」なんて言われるほどだ。
実はこの噂、あながち間違ってなかったりする。というのも、カレーうどんに使われているターメリック(ウコンのこと)には、肝臓の働きを助ける効果があると言われているから。
おいしくて二日酔い予防にもなるカレーうどんは、まさにシメにピッタリな食べ物なのだ。
1976年「若鯱家」の名前で創業した「鯱乃家」は、名古屋カレーうどんの元祖として知られる名店。独自のレシピで作り上げたカレーうどんで人気を博し、その後3店に暖簾分けをした。
…のは良かったんだけど、あるとき本店で働いていた従業員が店を退職、「若鯱家」という店名を商標登録してフランチャイズ化してしまった。これが今カレーうどんの大手チェーンとして有名な「若鯱家」のはじまり。
その後本店は「若鯱家」から「鯱乃家」に改名するも、本店から暖簾分けされたお店は「若鯱家」のまま。そのため、暖簾分けされたお店は通称「チェーンじゃない方」などと呼ばれている。ややこしい。
味噌煮込みうどんの名店「山本屋本店」の姉妹店として2013年にオープンした「鯱市」。
定番のカレーうどんに加えてチキンカレー煮込みうどん、ベジタブルカレー煮込みうどん、夏限定の汁なしカレーうどんなど、他ではお目にかかれないカレーうどんたちが味わえる。11時から15時のランチタイムはご飯1杯が無料なのも嬉しいところ。(土日祝・年末年始・GW・お盆期間除く)
昼はランチ、夜は居酒屋として愛されるうどん専門店。
ネギとお揚げがたっぷりのオーソドックスなカレーうどんはもちろん、まろやかな味わいのチーズカレーうどんも人気。シメにぴったりな「ミニカレーうどん」「ミニチーズカレーうどん」、ポテトフライならぬ「うどんフライ」など、居酒屋ならではのメニューも揃っている。
守山に本店を構える老舗、「わだ泉」。17種類のスパイスを配合して作られる「わだ泉名物カレーうどん」が人気のお店だ。
また、三河産二元豚をミルフィーユ状に重ねて揚げたカツと秘伝の醤油ダレが相性抜群な「醤油カツ丼」を『新名古屋飯』に押し上げようという野望を持っている模様。
けして牛丼屋ではない。新栄にある麺処「吉野家」では、夏季限定で冷たいカレーうどん「冷やしころカレーうどん」が食べられる。
また、「吉野家」はいわゆるデカ盛りでも有名なお店。中盛で2kg、大盛で3.2kgというとんでもない重量の麺が提供される。並盛(450g)で既に二人前以上のボリュームがあるので、注文の際は気をつけて。
カレーうどんの話ばっかりしてたら、カレーうどんが食べたくなってきた。
だってのに、なんで今僕は白シャツを着ているんだろうな。歴史は繰り返すとはこのことか。それにしたって繰り返しすぎじゃなかろうか。もはや呪いだ。もしかすると、人間っていうのは「白シャツ着てるとカレーうどんが食べたくなる生き物」なのかもしれない。
そんな白シャツ着ててもカレーうどんが食べたい生き物たちのために、紙ナプキンを用意してくれているお店もある。
ありがたく使わせてもらおう。お気に入りの白シャツを、ひいては「白い服を着ていてもカレーうどんが食べたい」というその心を守るために。
ちなみにカレーの色素は紫外線に弱いので、しっかりお日様に当てると薄くなる。
盛大に飛ばしちゃった場合はおためしあれ。
参考:おばあちゃんの知恵袋LABO カレーのシミが「外干しすると紫外線で消える」という噂は本当?
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