第5回アジアパラ競技大会。車いすバスケットボールは、開会式を待たずに10月16日(金)から愛知国際アリーナで試合が始まる。この記事では、ルールをまったく知らない人でも試合を楽しめるように、日程と会場、基本ルール、男女の日本代表、そして観戦のコツを順番に整理してみた。

まずは「いつ、どこで見られるのか」から。ここを押さえておけば、あとは予定を立てるだけだ。
大会全体の期間は、日本パラリンピック委員会(JPC)の大会概要によると、2026年10月18日(日)の開会式から10月24日(土)の閉会式まで。45の国と地域が参加し、実施されるのは18競技だ。
そのなかで車いすバスケットボールは、大会公式サイトの競技ページで、全試合が愛知国際アリーナ、期間は10月16日から23日と案内されている。女子は10月22日の決勝までで、男子の金メダルゲームは10月23日(金)の18時30分からだ。ひと足先に、名古屋の夜が熱くなる。
出場チームも公式サイトで確認できた。男子はAグループがクウェート、タイ、中国、日本。Bグループがイラク、イラン、韓国、フィリピン。女子はカンボジア、中国、タイ、ラオス、イラン、日本の6チームで、総当たりの予選を戦う形になっている。
では、日本代表はいつ登場するのか。次は、日本の予選の予定をまとめておく。
公式サイトの試合表から、日本の予選をそのまま書き出す。時間は変更される場合があるので、出かける前に公式サイトでの再確認をおすすめしたい。
男子は10月20日から準々決勝、女子は予選のあとに順位決定戦と決勝へ進む。日程がわかったところで、次は「そもそもどんなルールなのか」を見ていこう。

車いすバスケは、コートの広さもリングの高さも一般のバスケットボールと同じ。違うのは、車いすという「脚」を使う点と、チーム編成の独特な仕組みだ。
最初に知っておきたいのが持ち点の制度。選手には障がいの程度に応じたクラスがあり、パラサポWEBの解説によると持ち点は1.0点から4.5点で、障がいが重いほど小さな数字になる。そしてコート上にいる5人の持ち点の合計は14点以内に収めなければならない。
たとえば男子日本代表の鳥海連志選手は持ち点2.5、藤本怜央選手は4.5だと、世界選手権を振り返った記事などで紹介されている。持ち点の高い選手を並べたくても、合計14点の枠があるから全員は並べられない。だからどの組み合わせで出すか、いつ入れ替えるかが、そのまま作戦になる。
持ち点の制度は、障がいの程度が違う選手が同じコートで戦えるようにするための仕組みでもある。ここまでが「人」のルールで、次は「動き」のルールだ。
車いすバスケにはダブルドリブルの反則がない。ドリブルをしてボールを持ち、またドリブルをする、という流れを繰り返せる。ただしボールを持ったまま車いすをこぐ「プッシュ」は2回までで、JPCの競技紹介ページにもあるとおり、連続で3回以上こぐとトラベリングになる。
パラサポの解説では、シュートやリバウンドの場面で競技用車いすの片輪を上げて高さを出す動きを「ティルティング」と紹介している。見ていると、車いすとからだが一体になっているのがよくわかる。JPCのページには、タイヤをハの字に取りつけて回りやすさと直進性を調整しているとも書かれていて、道具を自分に合わせて仕上げる職人のような面もある。
基本がわかったところで、いよいよ日本代表の話に入ろう。まずは男子から。

男子日本代表を率いるのは、京谷和幸ヘッドコーチ。パラサポWEBの内定状況まとめでは、「目標は連覇」と掲げている。
前回の杭州大会(2023年)で、男子は3大会ぶりに優勝した。決勝は韓国に47対45という1点を争う勝負で、パラスポ+!の記事によれば、第1回の2010年以来の金メダルだった。準決勝のイラン戦では、相手を40点、フィールドゴール成功率28%に抑えている。守備で勝ちきるというのが、このチームの色だ。
今年9月のカナダ・オタワでの世界選手権では、男子は過去最高の6位だった。予選グループは全勝で1位通過。準々決勝はイギリスに66対68で惜しくも敗れ、5位決定戦ではアメリカに敗れた。それでも鳥海連志選手は1試合平均19.2得点、11.2アシスト、10.5リバウンドと、平均でトリプルダブルを記録している(出典は先ほどのパラサポWEBの記事)。
京谷ヘッドコーチは大会後に「ディフェンスは世界のトップレベル」と総括した。その自信を、アジアの舞台でどう見せるのか。なお、アジアパラに出る男子の最終メンバーは、私が確認できた資料では全員分の名前までたどれなかったので、公式の発表を見てほしい。
さて、もうひとつの注目が女子日本代表だ。

女子は、アジアパラで長く「あと一歩」を続けてきた。今大会は、その壁を越えられるかどうかが最大のテーマになる。
三重県の発表資料によると、女子のアジアパラでの成績は2010年の広州が金、2014年の仁川、2018年のジャカルタ、2023年の杭州がいずれも銀。
杭州の決勝は中国に30対61で敗れた(パラスポ+!の記事)。それでもパラサポWEBによると、橘香織ハイパフォーマンスディレクターは「目標は金メダル獲得」と明言している。
9月の世界選手権で女子は8位。添田智恵ヘッドコーチは「世界のレベルが上がってきている」と話した。そのなかでパラサポWEBの記事が伝えているのが、持ち点4.5の北田千尋選手だ。1試合平均20.8得点を挙げ、3ポイントシュートは12本で大会トップタイだった。
同じ記事では、チームの持ち味はコートとベンチが一体となる「全員バスケ」と紹介されている。主将は萩野真世選手。2024年のパリ前には、選手たちが自分たちで「フィアレスジャパン」と名乗ったこともパラフォトの記事で紹介されている。「恐れずに戦う」という言葉は、いまのチームにもよく似合う。なお男子の愛称は、今回の調べでは確認できなかった。
日本が勝つために越えなければならない相手は、アジアにいる。次は、その強豪たちに目を向けてみよう。
アジアの車いすバスケは、どの試合も気が抜けない。今回の組み合わせで特に気になるチームを、確認できた事実から挙げておく。
ここで紹介する3か国は、日本とすでに結果で結びついている相手だ。
じつはアジアでの強さは、世界への切符にも関わる。世界選手権の記事によると、2028年ロサンゼルスパラリンピックでアジア・オセアニアに割り当てられた男子の枠は1。日本が出場権を得るには、2027年のアジア・オセアニア選手権で優勝するか、2028年の世界最終予選で勝ち上がる必要がある。
アジアパラでの戦いぶりが、その前哨戦になるわけだ。では実際に会場へ行ったら、どこを見れば楽しいのだろう。
ルールを覚えたら、あとは目の前の試合に集中するだけだ。コツをいくつか紹介したい。
全部を一度に追う必要はない。次の3つのどれかひとつを決めて見るだけで、見え方がずいぶん変わる。
観戦は、大会公式のチケットサイトから案内が出ている。料金や販売の状況は、私の調べでは確認できなかった。直前に出かけて空振りしないよう、試合時間と販売状況は公式サイトで確かめてから向かうのが安心だ。
ここまで読んで、「いくつか聞きたいことがある」という人もいると思う。よくある疑問をまとめておこう。
最後に、観戦を考えている人から出そうな質問を答えとセットで並べる。
会場は愛知国際アリーナで、10月16日から23日までの開催だ。女子の決勝は10月22日の19時、男子の決勝は10月23日の18時30分から予定されている(大会公式サイトより)。
一般のバスケットボールではドリブルを止めてから再びドリブルするとダブルドリブルになるが、車いすバスケにはその反則がない。ドリブルとボールを持つ動きを繰り返してよい。ただしプッシュは2回までで、3回以上続けるとトラベリングになる。
持ち点は1.0点から4.5点で、障がいの程度に応じて決まる。コート上の5人の合計が14点以内になるように、選手の組み合わせを考える。
日本パラリンピック委員会や日本車いすバスケットボール連盟の公式発表で確認できる。この記事を書いた時点で、男子の全員分の名前は私が確認できた資料に載っていなかったため、ここでは取り上げていない。
ルールは3つだけ覚えればいい。持ち点の合計は14点以内、ダブルドリブルはなし、プッシュは2回まで。そして、男子は連覇をかけ、女子は3大会連続の銀の先にある金を狙う。どちらも、勝ち方がはっきりしたチームだと思う。
開会式の2日前には、もう試合が始まる。10月16日、愛知国際アリーナでのあの音を、ぜひ自分の耳で聞いてみてほしい。